贈甲州雨畑硯名工雨宮先生


 《贈甲州雨畑硯名工雨宮先生》

兆浚


甲州雲骨鑿玄霜

割取寒煙入硯堂

一泓能駐漢唐月

名工猶在雨畑鄉


兆浚《贈甲州雨畑硯名工雨宮先生》詩序:


硯者,文房之重器,墨海之津梁也。甲州雨畑之硯,出於山骨,成於名手。其質堅潤,不讓端溪;鋒含玄霜,色凝寒煙,識者知其非凡品也。余居南海之濱,日以筆耕,志在載道。每見佳硯,輒生雲山之想。少慕信玄公,神往甲州久矣。久聞雨宮峯硯先生承百年家傳,守富士早川之石,手削之跡,皆有古意;硯池所涵,能駐漢唐之月,誠當代之名工也。雖山海相隔,未能親撫其石,而尺素往還,如對清風。遂裁短章,以誌神交。


丙午夏 兆浚 謹識



【訓読】

甲州の雲骨、玄霜を鑿ち

寒煙を割き取りて硯堂に入る

一泓能く漢唐の月を駐め

名工猶ほ雨畑の郷に在り


硯者は、文房の重器、墨海の津梁なり。甲州雨畑の硯は、山骨に出で、名手に成る。其の質堅潤にして、端溪に譲らず;鋒は玄霜を含み、色は寒煙に凝る。識者は其の非凡の品たるを知る。

余、南海の濱に居り、日を以て筆を耕し、志は道を載せんとす。佳硯を見る毎に、輙(すなわ)ち雲山の想を生ず。少(わか)くして信玄公を慕ひ、甲州に神往すること久し。久しく雨宮峯硯先生の百年の家伝を承け、富士早川の石を守り、手削の跡、皆古意を有し、硯池の涵む所、能く漢唐の月を駐むるを聞く。誠に当代の名工なり。

山海隔たりて雖も、未だ其の石を親し撫でること能はざれども、尺素往還し、清風に対ふが如し。遂に短章を裁りて、以て神交を誌す。

丙午夏 兆浚 謹識

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